スルーホール断線とは、スルーホール断線とは、プリント基板の表面と裏面、または内層を含む複数の層をつなぐスルーホール部分で導通が失われる不良です。スルーホールは、基板に開けた穴の内壁に銅めっきを施し、層間を電気的に接続する役割を持っています。
そのため、スルーホールに断線が起きると、回路図上ではつながっているはずの箇所が実際には導通せず、基板の動作不良につながります。特に多層基板では、スルーホールが内層回路と接続していることがあり、外観だけでは不良箇所を判断しにくい点に注意が必要です。
この記事では、スルーホール断線の症状、主な原因、検査方法、修理可否、再発防止の考え方をわかりやすく解説します。
スルーホールは、プリント基板の表面と裏面、または内層を電気的につなぐための穴です。スルーホールには、部品のリードを挿入してはんだ付けするためのものと、部品実装を目的とせず層間接続に用いられるものがあります。
スルーホール内部には銅めっきが形成されており、このめっきによって電気信号や電源ラインがつながります。つまり、スルーホールは基板内の電気の通り道です。
スルーホール断線は、パターン断線やはんだ不良と混同されやすい不具合です。違いを整理すると、次のようになります。
| 不良の種類 | 主な発生箇所 | 特徴 |
|---|---|---|
| スルーホール断線 | スルーホール内部・内層接続部 | 層間の導通が失われる |
| パターン断線 | 基板表面や内層の銅配線 | 配線そのものが切れる |
| はんだ不良 | 部品端子・ランド周辺 | はんだ接合が不十分になる |
はんだ不良であれば再はんだによって改善する場合があります。しかし、スルーホール内部が断線している場合は、はんだを盛り直しても根本的な解決にならないことがあります。部品交換後も不具合が解消しない場合は、スルーホール断線を含め、基板側の導通不良を疑うことが重要です。
スルーホール断線が起きると、本来つながるべき回路が導通しなくなります。その結果、基板全体または一部の回路が正常に動作しないことがあります。
完全に断線している場合は導通確認で発見しやすいですが、クラックなどによって接触が不安定な場合は、測定時だけ導通することもあります。そのため、症状が断続的に発生する場合は、単純なテスター確認だけで判断しないことが大切です。
スルーホール断線の原因として多いのが、ドリル加工やめっき工程の不具合です。スルーホールは、穴あけ後に内壁へ銅めっきを形成して導通を確保します。そのため、穴の状態やめっき品質に問題があると、断線や導通不良につながります。
レジンスミアとは、ドリル加工時に発生した樹脂残渣が、スルーホール内壁や内層銅箔に付着・残留したものです。スミアが残ったままめっきを行うと、銅めっきと銅箔の接続が妨げられ、導通不良の原因になります。
製造時に問題がなくても、使用環境や修理作業によってスルーホール断線が発生することがあります。
たとえば、温度変化が繰り返される環境では、基板材料と銅めっきの熱膨張差によってスルーホール内壁に応力がかかります。その結果、バレルクラックやコーナークラックが発生し、導通が不安定になることがあります。
また、部品交換やはんだ除去の際に過度な熱や力が加わると、ランド剥離やスルーホール内壁のめっき損傷が起こることがあります。リワーク後に不具合が発生した場合は、部品だけでなく基板側の損傷も確認する必要があります。
スルーホール断線が疑われる場合、まずテスターで導通確認を行います。回路図やパターンを確認し、本来つながっているはずの箇所同士を測定します。
導通がなければ、スルーホール断線のほか、パターン断線、はんだ不良、ランド剥離などの可能性があります。ただし、テスターで分かるのは「導通しているかどうか」であり、スルーホール内部のどこに異常があるかまでは判断できません。
外観検査では、ランド剥離、焦げ、パターン損傷、はんだ不良などを確認できます。しかし、スルーホール内部のめっき不良や内層接続部のクラックは、外観だけでは見つけにくい不良です。
内部状態を確認するには、X線観察や断面観察が有効です。X線観察は非破壊で内部を確認できる一方、観察方向や不良の種類によっては異常を判断しにくい場合があります。断面研磨やSEM観察では、スルーホール内壁のめっき厚、クラック、めっき剥がれ、内層接続状態などを詳しく確認できます。
| 検査方法 | 確認できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 導通確認 | 導通の有無 | 異常箇所の特定までは難しい |
| 外観検査 | ランド剥離・はんだ不良・表面損傷 | 内部不良は見つけにくい |
| X線観察 | 内部構造・実装状態 | 不良の種類によっては判別しにくい |
| 断面観察 | めっき厚・クラック・内層接続状態 | 破壊検査になる |
スルーホール断線は、状態によっては修理できる場合があります。単純な両面基板で接続先が明確な場合は、ジャンパー線やリード線で導通を確保できることがあります。また、損傷したスルーホールをアイレットで補修する方法もあります。
ただし、すべてのケースで修理できるわけではありません。特に多層基板で内層接続がある場合、表面と裏面をつなぐだけでは本来の接続を再現できないことがあります。
多層基板や重要用途の基板では、自己判断で加工や加熱を行うと損傷を広げる可能性があります。修理を優先するのか、原因解析を優先するのかを明確にしたうえで、必要に応じて専門業者へ相談しましょう。
スルーホール断線を防ぐには、設計・製造・実装・使用環境の各段階で対策を行うことが重要です。
特に量産品や高信頼性が求められる製品では、不具合が発生してから修理するだけでなく、原因を特定し、再発防止策まで検討することが大切です。
スルーホール断線とは、プリント基板のスルーホール部分で導通が失われる不良です。表面上は異常が見えなくても、スルーホール内部のめっき不良、クラック、内層接続不良などによって、基板が正常に動作しなくなることがあります。
原因には、ドリル加工不良、めっき不良、レジンスミア、デスミア不足、温度変化によるクラック、リワーク時の損傷などがあります。まずは導通確認を行い、必要に応じてX線観察や断面観察を組み合わせることで、原因をより正確に把握できます。
スルーホール断線は、修理できる場合もありますが、基板構造や損傷範囲によって対応方法が変わります。特に多層基板や重要用途の基板では、自己修理ではなく、検査・解析・修理に対応できる専門業者へ相談することをおすすめします。
急ぎでお願いしたい基盤の修理や複製。ここでは正確に、早く作業してくれる業者を探している法人や個人の方に、おすすめの業者をまとめました。

修理成功率99%、納期平均約7日間と、技術と速さを兼ね備えた企業。
月間約1,300件の修理を行う。

デバイスや医療機器の受託製造を行う技術力を基板複製にも活用。
回路図不要、多層基板でも対応可能で、1年間の保証付き。

産業機械の基板修理も行う技術力を、個人向けにも提供。新潟県の本社に直接持ち込みすれば11,000円の修理の可否の調査費も無料に。
※基板修理の業者をお探しの方に向けて「基板修理 業者」でGoogle検索を行い、結果に表示された上位業者37社から、以下理由で選定をしております。(調査期間はすべて2024年6~7月)
ラヴォックス:調査企業で修理成功率、月間修理件数が最多であり、納期が一番短い
参照元:ラヴォックス公式サイト(https://www.loveox.co.jp/repair/)
JOHNAN:複製についての記載がない企業が多い中で、複製についての受付記載が掲載されている
参照元:JOHNAN公式サイト(https://www.johnan.com/repairs/pcbrepairs/)
ハイン:法人向けも対応する企業の中で、唯一個人向けにも対応している